相続税申告が不要なケースと納税がなくても申告が必要なケース
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家族が亡くなり、遺産を引き継ぐことになった際、気になることのひとつが相続税を支払う必要があるのかという点です。
今回は、相続税申告が不要となるケースと、納税が不要であっても申告が必要となるケースについて解説します。
相続税申告が不要なケース
相続税の申告手続きを省略できるのは、原則として遺産の総額が課税される基準を下回っているときです。
具体的にどのような場合に不要と判断されるのか、代表的な3つのケースをみていきます。
ケース①基礎控除を超えていないとき
相続税には、一定の金額までは税金がかからない基礎控除という仕組みが設けられています。
亡くなった方(被相続人)が残した正味の財産額が、この基礎控除額の範囲内におさまっていれば、相続税の納税も申告も必要ありません。
基礎控除額を算出するための計算式は、以下の通りです。
3000万円 +(600万円 × 法定相続人の数)
正味の財産額とは、預貯金や不動産、株式といったプラスの財産から、借金や未払金、葬式費用といったマイナスの財産を差し引いた後の金額を指します。
この計算の結果、基礎控除額以下であれば、税務署への報告義務は発生しません。
ただし、この正味の財産の計算には、生命保険金の非課税枠の計算や、亡くなる前に行われた一定期間内の贈与の加算など、見落としやすい項目が多く含まれています。
単純な計算で判断せず、まずは全財産を正確に把握する段階が重要となります。
ケース②障害者控除を利用した場合
相続人が85歳未満の障害者である場合、相続税の額から一定の金額を差し引くことができる障害者控除という制度があります。
この控除は、障害を持つ相続人の生活を守るための福祉的な配慮として設けられています。
控除額は、その相続人が満85歳になるまでの年数に、10万円(特別障害者の場合は20万円)を乗じた金額です。
遺産の総額が基礎控除額の範囲内であれば当然申告は不要ですが、遺産額が基礎控除を超えていたとしても、障害者控除のみを適用して税額がゼロになるのであれば、原則として申告書を提出する必要はありません。
ケース③未成年控除を利用した場合
相続人が18歳未満の未成年者である場合に、相続税額から一定額を差し引ける未成年控除も、申告不要の判断に関わる項目です。
控除額は、その未成年者が満18歳に達するまでの年数に10万円を乗じた金額となります。
前述の障害者控除と同様に、基礎控除を引いた後の本来の税額よりも、この未成年控除の額の方が大きい場合、結果として納税額はゼロになります。
このケースでも、遺産総額が基礎控除を超えていたとしても、未成年控除の適用のみで税額がゼロになるのであれば、法律上の申告義務はないとされています。
納税しなくても相続税申告が必要なケースもある
相続税申告において注意しなければならないのが、納税額はゼロになるが、申告の必要があるケースです。
これを失念すると、後から数千万円単位の税金を請求されるという取り返しのつかない事態を招く恐れがあります。
代表的なものとして配偶者の税額軽減(配偶者控除)と小規模宅地等の特例が挙げられます。
配偶者が相続する際、1億6000万円または法定相続分までの財産については税金がかからないという強力な制度がありますが、これは期限内に申告をすることが適用の絶対的な条件となっています。
また、自宅の土地の評価額を最大80パーセント減額できる特例も、申告を行わなければ適用されません。
特例を使えばゼロになるから申告しなくていいという自己判断は、もっとも危険な間違いです。
申告を怠れば、これらの特例は一切認められず、本来の時価で計算された多額の税金が課されることになります。
まとめ
今回は、相続税申告が不要なケースと、納税額がゼロでも申告が必要となるケースについて解説しました。
相続は一生のうちに何度も経験するものではないので、多岐にわたるルールを把握することは難しいです。
そのため、難しい場合には相続に精通している税理士に相談することを検討してください。