相続税の税額控除にはどのような種類がある?
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相続が発生した際、遺された財産の総額によっては、相続人に納税の義務が生じることがあります。
日本の税制には、特定の事情を持つ相続人や特定の財産に対して、税負担を軽減するための様々な仕組みが設けられています。
今回は、相続税の税額控除にはどのような種類があるのかについて解説します。
相続税が発生するのはどこから
相続税は、被相続人から受け継いだすべての財産に対して、直ちに課税されるわけではありません。
納税の義務が生じるかどうかの判断基準は、遺産の総額が基礎控除額を超えているかどうかという点にあります。
基礎控除とは、相続税の計算において無条件に差し引くことができる非課税枠のことを指します。
その計算式は、以下の通り定められています。
3000万円 +(600万円 × 法定相続人の数)
この法定相続人の数には、相続放棄をした者がいたとしても、その者を放棄がなかったものとした場合の人数が含まれます。
相続税の税額控除は?
相続税の税額控除は次の通りです。
配偶者控除
相続税の配偶者控除は、正式には配偶者の税額軽減と呼ばれます。
これは、亡くなった方の配偶者が取得した正味の遺産額が、以下のいずれか多い金額までは相続税が課税されないという制度です。
- 1億6000万円
- 配偶者の法定相続分相当額
配偶者が2億円の財産を取得したとしても、その金額が法定相続分の範囲内であれば、配偶者の納税額はゼロになります。
この制度が設けられている背景には、夫婦で協力して築き上げてきた財産に対する配偶者の貢献への配慮や、残された配偶者の今後の生活保障といった目的があります。
婚姻期間の長短は問われませんが、法律上の婚姻関係にあることが要件となるため、内縁の配偶者や事実婚の状態にある者は対象外となります。
小規模宅地等の特例
小規模宅地等の特例は、厳密には税額控除ではなく、土地の評価額そのものを減額する制度ですが、税負担を軽減させる仕組みとして極めて高い効果を持ちます。
被相続人が住んでいた自宅の土地や、事業を行っていた土地を相続人が引き継ぐ場合に、一定の面積までその評価額を最大80パーセント減額できます。
区分としては、主に以下の3つに分けられます。
- 特定居住用宅地等(自宅):330平方メートルまで80パーセント減額
- 特定事業用宅地等(店舗や事務所):400平方メートルまで80パーセント減額
- 貸付事業用宅地等(アパートや駐車場):200平方メートルまで50パーセント減額
この特例を利用するためには、誰がその土地を取得するのか、また取得した親族がその土地で引き続き生活や事業を継続するのか、といった詳細な条件をクリアする必要があります。
土地は相続財産の中で大きな割合を占める傾向があるため、この特例の適否が、全体の納税額を数千万円単位で左右することもあります。
税額控除を行うときの注意点
各種の控除や特例は、相続人の負担を軽くするための強力な味方となりますが、その利用には法律で定められた手順と期限を遵守することが求められます。
相続税申告を原則期限内に行わなければならない
相続税に関するすべての手続きにおいて、もっとも優先されるべき事項が申告期限の遵守です。
相続税の申告と納税の期限は、被相続人が亡くなったことを知った日の翌日から10か月以内と定められています。
1月1日に死亡を知った場合、その年の11月1日が期限となります。
期限までに分割が間に合わない場合は、法定相続分で申告を行うとともに申告期限後3年以内の分割見込書を提出するなどの、措置を検討するが必要になります。
相続税の納税がなくても申告する必要がある
控除を使えば税金がゼロになるのだから、税務署へ報告する必要はないという判断は、実務上の大きな誤解を招く傾向があります。
配偶者控除や小規模宅地等の特例は、納税者が自ら申告を行い、その要件を満たしていることを証明して初めて適用される申告が条件の制度です。
基礎控除額をそのまま差し引くだけでゼロになるのであれば申告は不要ですが、特例を使って評価を下げたり税額を引いたりした結果としてゼロになる場合には、必ず申告書の提出が求められます。
申告を怠ったまま数年が経過し、税務署からの指摘を受けた際には、すでに期限内申告という要件を満たせないため、特例の適用が認められないという事態に陥りかねませんので注意が必要です。
まとめ
今回は、相続税が発生する基準となる基礎控除の考え方、配偶者控除や小規模宅地等の特例といった代表的な軽減措置、および申告時の留意事項について解説しました。
相続税の仕組みは多層的であり、個々の相続人の状況や財産の種類によって、最適な控除の組み合わせが異なります。
ご不安な方は税理士に相談してみてください。