生命保険の一時受取と年金受取とは?相続税はそれぞれどうなる?
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人が亡くなった際、家族の生活を支える重要な原資として生命保険があります。
生命保険を一時受取にするか、あるいは年金受取にするかは、相続税の評価額の算出方法や、その後に課せられる所得税の負担などに影響を与えます。
今回は、一時受取と年金受取の概要や、相続税がそれぞれどうなるかなどについて解説します。
生命保険受取時の相続税の非課税枠とは?
生命保険受取時に相続税が課せられるのは、被相続人が保険料負担者かつ被保険者である場合です。
生命保険における相続税の非課税枠とは、受取人が相続人である場合に非課税限度額までを相続税の対象外とする制度です。
非課税限度額は、次の式で求められます。
非課税限度額 = 500万円 × 法定相続人の数
非課税枠は一時受取であっても年金受取であっても同様に適用されますが、評価額の出し方に違いが生じます。
生命保険の一時受取
一時受取とは、保険契約に基づいて支払われる死亡保険金の全額を1度に現金で受け取る方法です。
一時受取をすると生命保険は相続税の対象となり、その評価額は以下の式で求められます。
評価額 = 受取金額 - 非課税枠
生命保険を一時受取するメリット
生命保険を一時受取にするメリットは、資金の即時性と流動性です。
相続税の申告と納税は、被相続人が亡くなった日の翌日から10ヶ月以内に行わなければなりません。
生命保険を一括で受け取ることで、相続税そのものの納税資金としても即座に活用しやすくなります。
また、一度の申告で税務処理が完結するため、翌年以降にこの保険金に関連した所得税の確定申告を行う手間がない点もメリットであるといえます。
生命保険を一時受取するデメリット
生命保険を一時受取すると、保険会社による長期的な運用益を享受する機会を失うデメリットがあります。
多くの保険商品では、一時受取よりも据え置いて分割で受け取った方が、利息により額面上の総受取額が多くなる傾向があります。
生命保険の年金受取
生命保険の年金受取とは、保険金を一度に受け取らず、あらかじめ定められた期間にわたって分割で受け取る方法です。
年金受取の場合、1年目の受取は相続税の対象ですが、2年目以降に受け取る年金は、原則として所得税の対象となります。
相続税の評価額は、以下の3つのうちもっとも高い金額で算定されます。
- 解約返戻金の額
- 年金に代えて一時金を受け取ることができる場合のその金額
- 予定されている年金の総額に基づいた現在価値
実務上は、一時金として受け取れる額が評価額となることが一般的です。
この評価額から非課税枠を差し引いた金額が、相続税の課税対象となります。
生命保険を年金受取するメリット
生命保険を年金受取するメリットは、保険会社が資金を運用し続けるため、一時受取よりも多くの金額を最終的に受け取れる点にあります。
また、毎月または毎年決まった額が振り込まれるため、生活設計を立てやすいという側面もあります。
生命保険を年金受取するデメリット
生命保険を年金受取するデメリットは、二重課税の問題と、その調整による手続きの煩雑さです。
相続税を払った部分については所得税を課さないという調整が行われますが、運用益に相当する利息部分には毎年所得税が課されます。
また、年金受取によって毎年の所得が増えると、国民健康保険料や介護保険料の負担が増大したり、配偶者控除の対象から外れたりするリスクがあります。
受取方法の選択における注意点
生命保険受取時に一時受取と年金受取、どちらを選ぶべきか判断を下す際には、以下のことを考慮してください。
納税資金と生活費のバランス
生命保険の受取方法を決める前に、相続税の納税額を概算し、その資金が他の預貯金などで賄えるかを確認する必要があります。
納税資金が不足しているのであれば、その不足分については一時受取にするという選択肢もあります。
一部を一時金で、残りを年金で受け取る併用が可能な保険契約であるかどうか、証券の内容を精査することが重要になります。
2割加算のルールの確認
相続税には、一親等の血族および配偶者以外の人が相続した場合に、税額を20パーセント増額する2割加算という制度があります。
受取人が孫や兄弟姉妹である場合、年金受取を選択していても、初回の相続税にはこの2割加算が適用されることに注意してください。
まとめ
今回は、生命保険の一時受取と年金受取の違いについて、相続税やメリット・デメリットの観点から解説しました。
家族の構成、資産のバランス、将来の生活設計を総合的に考慮し、複数のパターンで実質的な手残り額を算出することが、利益を最大化するために有効です。
具体的な受取額の計算や、他の遺産との兼ね合いで不安を感じられた場合には、早めに税理士に相談することを検討してください。