長尾公仁税理士事務所

不動産を贈与した際の贈与税の計算方法とは?

不動産を贈与した際の贈与税の計算方法とは?

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不動産を無償で譲り渡す際に注意すべきことが、贈与税の負担です。
贈与税は、原則として贈与を受けた年に譲り受けた財産の合計額に対して課せられます。
不動産という高額な資産を動かす場合、適切な知識を持たずに手続きを進めると、後に税務署から想定外の納税を求められる可能性があります。
今回は、贈与税の課税方式や、不動産贈与における贈与税の計算方法について解説します。

贈与税における2つの課税方式

贈与税の課税方式には、暦年課税方式と相続時精算課税方式の2つが存在します。
多くの贈与では、暦年課税方式が適用されます。
暦年課税方式とは、1年間に受けた贈与の合計額から基礎控除額である110万円を差し引いた残りの金額に税率を掛ける制度です。
110万円以下の贈与であれば、税金はかからず申告も不要です。
60歳以上の父母や祖父母から18歳以上の子や孫へ贈与を行う場合には、相続時精算課税方式が選択できます。
累計で2500万円までの贈与が非課税となりますが、贈与者が亡くなって相続税を計算する際には、その贈与財産が相続財産に加算されます。
この方式を選択するとその後の贈与で暦年課税に戻ることはできないため、長期的な視点での判断が求められます。

不動産の評価額を決定する方法

不動産を贈与した際の贈与額を計算するためには、まず不動産の評価額を決定する必要があります。
土地と建物は、それぞれ次のように評価されます。

土地の評価方法

市街地などの主要な道路に面した土地を評価する際には、路線価方式が用いられます。
路線価とは、国税庁により公表される、道路ごとに設定された1平方メートルあたりの単価のことです。
このとき土地の評価額を算出する式は、以下の通りです。

評価額 = 路線価 × 面積(平方メートル) × 各種調整指数

路線価が設定されていない郊外や農村部の土地については、倍率方式で価値を判定します。
これは、市区町村が固定資産税の計算に用いている固定資産税評価額をベースにする方法です。
倍率方式における土地の評価額は、次の式で求められます。

評価額 = 固定資産税評価額 × 地域ごとに定められた一定の倍率

適用する倍率は地域や地目によって細かく分かれているため、国税庁のウェブサイトなどで最新の数値を正確に照合する必要があります。
なお、自身が所有して住んでいる土地ではなく、他人に貸している土地などの場合は、その利用制限が考慮されます。
借地権の目的となっている土地や、自身の土地に賃貸アパートなどを建てて貸している場合がこのケースに該当します。

建物の評価方法

建物の評価額には、毎年役所から通知される固定資産税評価額をそのまま使用します。
賃貸アパートのように他人に貸している建物であれば、借家権割合が差し引かれます。
新築で評価額が未定の建物については、建築代金の6割程度を目安に概算できますが、最終的には役所の判定を待つことになります。

不動産を贈与した際の贈与税の計算方法

不動産を贈与した際の贈与税の算出方法は、課税方式によってそれぞれ以下の通りです。

暦年課税方式の場合の贈与税

暦年課税における贈与税の計算式は、次のようになります。

贈与税 = (不動産の評価額 - 基礎控除額110万円) × 税率 - 控除額

税率は、贈与者と受贈者の関係性によって決まります。
直系尊属から18歳以上の人へ贈与する場合には負担を軽減する特例税率が、それ以外の贈与については一般税率が適用されることとなります。

相続時精算課税方式の場合の贈与税

相続時精算課税の場合の贈与税は、以下の式で求められます。

贈与税 = (不動産の評価額 ー 基礎控除額110万円 ー 特別控除額) × 税率

なお、特別控除は最高2,500万円までであり、税率は一律20%となっています。

贈与税を軽減するための特例制度

不動産贈与には、特定の条件を満たすことで税負担を抑えられる特例がいくつか存在します。
たとえば、婚姻期間が20年以上の夫婦間で居住用不動産やその取得資金を贈与した場合、配偶者控除により最大2000万円まで贈与税を控除できます。
ただし、同一の配偶者からは利用できるのは1度だけという制限があります。
また、直系尊属から住宅の購入や改築のための現金を贈与された際には、住宅取得等資金贈与の特例によって一定額まで非課税とできます。

まとめ

今回は、不動産を贈与した際の贈与税の計算方法や利用を検討すべき特例制度について解説しました。
不動産の贈与税を求めるためには、不動産の評価額算出や、最適な課税方式と特例の判断が必要となります。
評価額の計算に不安を感じたり、どの制度を用いるべきか迷われたりした場合には、税理士に相談してください。